ケアマネ歴12年、介護福祉士歴8年。居宅ケアマネや施設ケアマネを含み、これまで4回の転職を経験。成功した転職もあれば、失敗した転職ありました。そんな転職経験を活かすため当ブログを立ち上げました。ケアマネジャーのお仕事や転職をサポートするセミナーに多数登壇。ケアマネジャー情報雑誌に掲載実績あり。保有資格は、介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士、介護事務、ケアクラーク、他。現在は千葉県内の主任ケアマネジャーとして千葉県内の地域包括支援センターで働いています。
ケアマネジャーに最短でなるには?無資格でも目指せる方法をご紹介
介護業界の花形職とも呼ばれるケアマネジャーは、介護を必要とする高齢者をマネジメント業務で支える職業です。そんなケアマネジャーに憧れて「いつかは私もケアマネに!」と考えている方も多いことでしょう。
そこで本記事では、ケアマネジャーとして働くために必要な資格や実務経験を詳しく解説します。最短でケアマネジャーになる方法、また無資格でもケアマネジャーになれるのか?といった疑問にもお答えします。資格取得後の実務研修や更新研修についても分かりやすくご紹介します。
目次
ケアマネジャーになる方法は2つある
ケアマネジャーとして働くには「介護支援専門員」と呼ばれる資格が必要です。
介護支援専門員は民間資格や国家資格ではなく、各都道府県が管轄する「公的資格」になります。ちなみに介護職員初任者研修も公的資格になります。
この「介護支援専門員」を取得するには、まず受験資格をクリアしなければなりません。
受験資格の取得には2通りの方法があって、ひとつは「指定された国家資格保有で実務経験5年以上かつ900日以上」で、もうひとつが「相談員としての実務経験5年以上かつ900日以上」です。続いて、それぞれの方法について詳しく説明します。
指定された国家資格保有で実務経験5年以上かつ900日以上
ケアマネジャーを目指す大半の方が「指定された国家資格保有で実務経験5年以上かつ900日以上」の方法を選びます。
「指定された国家資格」とは以下の21資格になります。
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 視能訓練士
- 義肢装具士
- 歯科衛生士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
- 栄養士(管理栄養士含む)
- 精神保健福祉士
上記のどれか1つを保有しており、その資格を生かした仕事に5年以上かつ900日以上働いていれば「介護支援専門員」の受験資格はクリア。勤務先に実務経験証明書を発行してもらい、資格試験に挑むことができます。
相談員の実務経験5年以上かつ900日以上
続いて受験資格を得るもう1つの方法の「相談員としての実務経験5年以上かつ900日以上」についてご紹介します。
相談員には「生活相談員」「支援相談員」「相談支援専門員(主任相談支援専門員)」が該当し、これらの職業で5年以上かつ900日以上の勤務実績があれば「介護支援専門員」の受験資格はクリアです。
生活相談員とは
生活相談員(ソーシャルワーカー)は、主に特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイといった介護福祉施設で相談業務を行う職業です。利用者ご家族様の介護相談、関連施設の連絡調整、手続き、地域やその他コミュニティとの連携など、ケアマネジャーに近い業務内容となっています。
支援相談員とは
支援相談員とは、介護老人保健施設(老健)で相談業務などを行う職業です。 業務内容は生活相談員とほとんど同じで、入所者ご家族の相談業務や連絡業務が主な役割になります。
相談支援専門員とは
相談支援専門員は、障害者支援施設でで相談業務を行う職業です。各種サービスの窓口として紹介業務を行ったり、必要に応じて連絡調整を行います。またサービス利用計画の作成も大切な役割です。
ケアマネジャーに最短でなる方法は?
ケアマネジャーの受験資格を得るには最短でも「実務経験5年以上かつ900日以上」といった条件が必要になります。ですので、まずは受験資格に該当する上記の職業で働き始めることがポイント。
また、ケアマネジャーの受験資格を得た後の試験にも1発合格するために、働きながら少しずつ試験勉強も行うことが最短取得への近道となるでしょう。
無資格でもケアマネジャーになれる?
上記でご紹介した通り、ケアマネジャーの受験資格を得るには厳しい条件があります。
指定された21の国家資格を保有している方であれば、後は実務経験を積むだけですが、現在、何も資格を持っていない、つまり無資格者の方にとってはかなり遠い道のりになることでしょう。
でも大丈夫。安心して下さい。無資格でもケアマネジャーになる方法があります。それは相談員として働くことです。
相談員として働く場合には「社会福祉士」や「精神保健福祉士」といった資格が求められる場合が多くなっていますが、自治体によっては無資格でも相談員として登録・採用してくれる職場があります。
例えば東京都世田谷区の場合、「特別養護老人ホームにおいて、介護の提供に係る計画の作成に関し、1年以上(勤務日数180日以上)の実務経験を有する者」という条件を満たすことで生活相談員としての登録が可能となっています。
また神奈川県川崎市の場合では「介護保険施設又は通所系サービス事業所において、常勤で2年以上(勤務日数360日以上)介護等の業務に従事した者(直接処遇職員に限る)」という条件を満たすことで生活相談員としての登録が可能となっています。
関連ページ
このように、無資格でも職務経験を条件に生活相談員の資格を取得ることが可能となっています。正式に自治体の生活相談員として登録された後、「相談員としての実務経験5年以上かつ900日以上」というケアマネジャーの受験資格をクリアするだけです。
実務研修受講試験に合格する
ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格をクリアしたなら、都道府県で年1回実施される「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)」を受験、そして合格することが次のステップになります。
試験内容
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の出題形式は5つの選択肢から正しいものを複数選んで回答する五肢複択式です。解答はマークシート方式になります。
問題数は全60問。介護支援、介護保険制度、要介護認定、居宅・施設サービス計画といった基礎知識についてが25問、保健医療福祉サービス分野、保健医療サービスなどが20問、福祉サービスで15問が出題されます。
試験時間は120分間になります。
試験日程
試験日 | 10月中旬 |
---|---|
受験申込期間 | 6月上旬~下旬 |
合格発表 | 12月上旬 |
受験手数料 | 6,600円~14,400円 |
※日程、受験手数料は都道府県によって異なります
合格率
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の合格率は約17%とかなり低めです。
2017年 | 21.5% |
---|---|
2018年 | 10.1% |
2019年 | 19.5% |
2020年 | 17.7% |
2021年 | 23.3% |
2022年 | 19.0% |
ちなみに介護福祉士の合格率は毎年約70%。そう考えると、数ある福祉系のなかでも介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)はとても難しい資格ですね。
試験の合格ラインは各分野の正答率70%程度とされていますが、全体の解答率に応じて合格ラインは毎年補正されています。とりあえずは7割正解を目指す必要があるでしょう。
シカトルなどでは受験対策講座なども行っているので、万全を尽くしたい方は利用をお勧めします。
実務研修を受ける
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)に合格した方は、続いて介護支援専門員実務研修を受けます。
介護支援専門員実務研修の内容は、15日間(87時間)の講習+3日間の実習になります。
15日間(87時間)の講習内容は、ケアマネジャーに求められる機能や役割、介護保険制度といった基本的なことから、居宅サー ビス計画等の作成、サービス担当者会議の進め方など実践的なことまで幅広く行います。
3日間の実習では、各都道府県の実務研修受入事業所として登録がある居宅介護支援事業所の紹介を受け、実際に利用者宅への訪問、アセスメントの実施やサービス担当者会議の準備・同席、モニタリングの実施、給付管理業務の方法など、一連のケアマネ業務を学びます。
ケアマネジャーの登録をして資格取得
実務研修の修了後、介護支援専門員登録申請(ケアマネジャー登録)を行ってはじめて、介護支援専門員証が交付となり、ケアマネジャーの資格取得となります。
登録申請には顔写真のほか、戸籍標本、そして2000〜3500円ほどの手数料がかかります。また「実務研修修了後3ヶ月以内に登録」と期限が決まっている場合もあるので要注意。詳しくはお住まいの都道府県に問い合わせて下さい。
ケアマネ資格の有効期間は5年で更新研修が必要
介護支援専門員証(ケアマネジャー資格)の有効期間は5年間です。また5年後以降も引き続きケアマネジャーとして働くには「更新研修」を受けなければなりません。
更新研修には「実務未経験者向け」と「実務経験者向け」が存在します。また「実務経験者向け」では「専門研修I」と「専門研修II」の修了状況に応じて更新研修の内容も異なります。
実務未経験者向けの更新研修
試験合格後に受講した実務研修とほぼ同じ内容の研修を合計54時間受ける。
実務経験者向けの更新研修
- 更新研修前に専門研修Iと専門研修IIを修了している方は更新研修なし。更新手続きを行うだけでOK。
- 更新研修前に専門研修Iを修了している方は、専門研修IIの受講、もしくは32時間の更新研修を受ける。
- それ以外の方は、専門研修Iと専門研修IIの受講、もしくは専門研修Iを受講して32時間の更新研修を受ける、もしくは88時間の更新研修を受ける。
関連ページ
ケアマネは資格関連がとっても面倒
以上がケアマネジャーとして働くために必要な資格関連の事です。
ケアマネジャーの資格試験を受けるために必要な資格や実務経験、そして試験に合格した後の長い実務研修、さらに5年毎に行われる更新研修と、「なる時も、なった後も大変な職業」がケアマネジャーなんですね。
正直なところ「こんなに研修ばかりやらせて何になる!資格の取得ハードルを上げて人材不足って意味不明!そもそも、そこまで厳しくするほどの資格じゃない!」というのが現役ケアマネの本音です。
ただまぁ、これでケアマネジャーの質が保たれるなら仕方ないのかもしれませんね。
コメント